投稿時間:02/09/24(Tue) 18:43 投稿者名:東京新聞
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タイトル:「『ADSL12メガ』体験してみました
「『ADSL12メガ』体験してみました
距離や環境条件に大きく左右
恩恵は速度向上より地域拡大?」
ヤフーBBの12メガADSLコンボモデム インターネットのブロードバンド(高速回線)を一般家庭に普及させる原動力となったADSL(非対称デジタル加入者線)だが、これまでの毎秒八メガビットの通信速度のサービスに加え、最近、通信各社が十二メガビットのサービスを次々と開始し始めた。果たして十二メガのサービスは、実際にどれだけ速くなるのか、自宅で体験してみた。
(フリーライター・谷岡康則、写真も)
筆者は埼玉県の新興住宅地の団地に住んでいる。これまで有力通信サービス会社のひとつイーアクセス社の八メガサービスでインターネット接続していたが、ADSLは、条件がよほどよくないとカタログ通りの速度が出ない特性があり、私の場合も実質、毎秒六百キロビットと、カタログにある八メガの十分の一以下の速度しか出ていなかった。
というのも、ADSLは、電話交換機(昔で言う電話局)と自宅の電話機の距離やさまざまな環境条件によって、回線を伝わる信号が弱くなるという性質があるからだ。
わが家の電話機は交換機からの距離は四・三キロメートル。従来のADSLでは限界距離といわれる四−五キロメートルぎりぎりで、ADSLが使えるだけでも幸運なのだ。
幸い、わが家には電話回線が二回線あるため、そのうち一回線に、今年八月初旬から、いち早くサービスを開始した有力通信サービス会社ヤフーBBの十二メガのADSLサービスを導入してみた。
各社が採用している十二メガサービスは、基本的に今までの八メガの技術にいくつかの工夫を加えて速度を上げようというものだ。
しかし、このやり方では、現在の八メガのサービスで、すでに通信速度が高い地域は、十二メガのサービス導入でさらに速度が上がる可能性が高いが、筆者のように、交換機から遠く通信速度の遅い地域では、十二メガを導入しても劇的な速度の向上は望めない恐れが強いのだ。
わが家でヤフーBB十二メガのサービスを実際に利用してみた実験結果は、やはり、従来のイーアクセス八メガとほとんど同じ毎秒六百キロビットしか速度が出なかった。しかも若干、通信状態が不安定な様子だ。
ヤフーだけではなく、十月からサービスを開始するイーアクセスの十二メガサービスでも、「通信速度の改善」は、現在、既に速い速度が出ている所ほど効果が大きく、筆者のような環境ではせいぜい毎秒百〜数百キロビットまでの向上の可能性がある程度としている。
従って一般ユーザーにとっての十二メガサービスの恩恵は、速度の向上よりも「サービス可能地域の拡大」というところにありそうだ。というのも、ヤフーBBの実験では、同社の従来方式では接続ができなかった電話交換機から六キロメートル超の地域でも接続可能になった事例が多数出ている。また、イーアクセスなどの他社でも「七キロメートル前後までの接続ができる可能性がある」としている。
しかし、七キロメートルまでADSLが使えるようになれば、ほとんどの電話使用者がADSLの利用が可能になる。今まで交換機から距離が遠すぎて「ADSLは使えない」といわれてあきらめていた人は、もう一度再チャレンジをお薦めする。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20020905/ftu_____dgi_____000.shtml
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